意見・提言2018

「平成30年北海道胆振東部地震」に関する会長談話

2018 年 9 月 6 日未明に発生しました「平成 30 年北海道胆振東部地震」により犠牲になられた 方々に心から哀悼の意を捧げ,ご冥福をお祈りします.同時に,未だ安否不明の方の一刻も早い救出と,被災者の皆様におかれましては,一日も早く日常生活を取り戻されることをお祈りいたします.

平成30年北海道胆振東部地震は,9月6日午前3時7分頃の北海道胆振地方中東部を震源とし,地震の規模はM6.7,震源の深さが37kmの地震です.勇払郡厚真町では,北海道における観測史上初めて最大震度7を観測し,震度6 強を安平町,むかわ町において,また震度6弱を札幌市東区,千歳市,日高町,平取町で観測するなど,胆振・石狩・日高地方を中心に広範囲にわたって強い揺れを観測しました.この強い震動は,厚真町を中心に,火山性堆積物からなる急斜面で数多くの土砂災害を引き起こし,被害を拡大させました.また札幌市東部では大規模な液状化現象が起こりました.さらに苫東厚真発電所の停止による全道にわたる大規模停電が,その後の市民生活に大きな影響を与えております.

平成30年北海道胆振東部地震の地震災害の詳細は,今後の調査・研究結果によりますが,今回の災害の背景に,この地域における地質学的な特徴が反映していることは言うまでもありません.今回の地震の震源域は,石狩低地,夕張山地,日高山脈の接合部にあたり,また西方の支笏・洞爺地方は火山活動の活発な地域にあたります.地殻の構造や断層の配置,加えて表層の地質条件が地震災害に大きく関係します.これらを総合的に理解,解釈することが災害の予測と減災に必要不可欠です.そのためには,基礎となる地質学的研究を精力的に進め,最新の知見を災害の予測と減災に活かす必要があります.日本地質学会は,学術研究の発展と最新の知見の普及・教育を推進し,多くの市民の皆様,そして関係諸機関と共に,最新の地質学的知見を活かして自然災害の予測と防災・減災方策を社会と連携して追求してまいりたいと思います.

今後,今回の地震に関する調査報告や研究成果については,学会公式サイトから,随時,発信してまいります.

一般社団法人日本地質学会
会 長  松田 博貴

2018年9月9日

「チバニアン」に関する声明

  昨年6月,日本の22機関32名からなる研究グループが,「千葉セクション」(千葉県市原市田淵の地層露出断面)を『国際標準模式層断面及びポイント』(Global Stratotype Section and Point; GSSPと略記)の「下部−中部更新統境界GSSP」に認定されるよう,GSSPの決定機関である国際地質科学連合(IUGS)に提案しました.これを受けて,IUGSのもとにある,国際層序委員会(ICS)の第四紀層序小委員会(SQS)下部−中部更新統境界作業部会で,提出された申請書が審査されました.そして2017年11月,作業部会における投票の結果,「千葉セクション」がIUGS内の上部の委員会に答申されることになりました.その後,日本の別の団体から申請書の科学的データへの異議がIUGSに出され,IUGSでの認定審査プロセスが本年4月から中断していることが報道されています.

  地球科学分野における我が国最大の学会と言える日本地質学会として,今回,研究グループの提案内容を本学会の学術研究部会を中心に検討しました.この声明は,その結果を踏まえ,提案内容の学術的意味の説明と本学会の見解を,ホームページに掲載し表明するものです.

2018年7月1日

平成30年度大学入試センター試験の地学関連科目に関する意見書

独立行政法人大学入試センターへ,平成30年度大学入試センター試験の地学関連科目に関する意見書を提出しました。

2018年3月22日提出

高等学校学習指導要領案へのパブリックコメント

文部科学省では、平成28年12月21日の中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」等を受け、学校教育法施行規則の一部改正及び高等学校学習指導要領の改訂を予定しており,それに伴いブリックコメント(意見募集)が行われました。日本地質学会として意見を提出しました。

2018年3月15日提出