Vol. 21  Issue 2 (June)

 

Island Arc Award (2012)

Structure of Sumatra and its implications for the tectonic assembly of Southeast Asia and the destruction of Paleotethys.
<Island Arc, 18, 3–20 (2009)>
Anthony J. Barber and Michael J. Crow


スマトラの地質構造,および東南アジアの形成とパレオテチスの閉鎖に対するその意義
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通常論文

[Research Articles]

1. Effects of tides and weather on sedimentation of iron-oxyhydroxides in a shallow-marine hydrothermal environment at Nagahama Bay, Satsuma Iwo-Jima Island, Kagoshima, southwest Japan
Shoichi Kiyokawa, Tomomi Ninomiya, Tomoaki Nagata, Kazumasa Oguri, Takashi Ito, Minoru Ikehara and Kosei E. Yamaguchi

浅海熱水環境における水酸化鉄の堆積作用への潮汐・気象状況の関連性:鹿児島県・薩摩硫黄島長浜湾
清川昌一・二宮知美・永田知研・小栗一将・伊藤 孝・池原 実・山口耕生


鹿児島県薩摩硫黄島にある長浜湾は浅海熱水活動が活発で水酸化鉄堆積作用を研究する上で非常に恵まれたところである.湾内の船付き場は人工的な防波堤に囲まれ,外洋からの影響が小さく,大量の水酸化鉄が沈殿している.湾内は赤褐色の海水からなり,海底には1.5mにおよぶ堆積物がたまっている.約2週間の湾内濁度変化断面図の作成および表層長期カメラ撮影により赤褐色海水の動きを明らかにした.その結果,天候が穏やかな場合は潮汐の影響が大きく,満潮時に外洋水が湾内に入る.小潮のときは潮の流れが小さいために沈殿が起こりやすい.台風では波・うねりの影響で海底がかき混ぜられ非常に濁る.大雨時には海岸線の水酸化鉄に富む砂の隙間を通って雨水が流れ込み,多くの鉄物質を供給する.鉄堆積物形成にはこのような自然現象の影響も重要である.
 
Key Words : Fe-oxyhydroxides, hot spring, rain, shallow-marine, storm, tide.
 

2. High-resolution lithostratigraphy and organic carbon isotope stratigraphy of the Lower Triassic pelagic sequence in central Japan
Hironobu Sakuma, Ryuji Tada, Masayuki Ikeda, Yuichiro Kashiyama, Naohiko Ohkouchi, Nanako O. Ogawa, Satoko Watanabe, Eiichi Tajika and Shinji Yamamoto

中部日本,下部三畳系遠洋性堆積物層序の高解像度復元および有機炭素同位体比変動
佐久間広展・多田隆治・池田昌之・柏山祐一郎・大河内直彦・小川奈々子・渡部哲子・田近英一・山本信治


三畳紀前期を通じた全球的な古環境変動を明らかとするため,中部日本,犬山地域において,詳細な野外調査に基づき,下部三畳系遠洋性堆積物層序の高解像度復元を行った.さらに,高解像度年代モデルを確立するため,含有される有機物の炭素同位体比を測定し,南中国の浅海成炭酸塩岩から得られた高解像度炭素同位体比変動と対比した.その結果,SmithianおよびSpathianを通じた,超海洋パンサラサの遠洋性堆積物層序に関する,高解像度年代スケールが得られた.本年代モデルから,Smithian後期を通じた堆積速度の急激な上昇が明らかとなり,パンサラサへの陸源砕屑物の供給量が増大した可能性が示唆された.
 
Key Words : carbon isotope, Lower Triassic, mass extinction, pelagic sequence, Permian–Triassic boundary, siliceous rock.
 

3. Petrogenesis of anhydrous clinopyroxenite xenoliths and clinopyroxene megacrysts in alkali basalts from the Ganseong area of South Korea
Sung Hi Choi and Nak Kyu Kim

韓国,Ganseong(アンソン)地域のアルカリ玄武岩に包有される無水の単斜輝石岩捕獲岩類と単斜輝石巨晶の岩石成因論

韓国Ganseong地域の後期新生代アルカリ玄武岩には多量の超苦鉄質捕獲岩と単斜輝石巨晶が含まれる.捕獲岩の大部分を占めるのは無水の単斜輝石に富むウェールライト―単斜輝石岩類で,ウェールライトからかんらん石単斜輝石岩,単斜輝石岩の範囲に及ぶ.本研究では記載岩石学と鉱物・全岩化学組成に基づいて,ウェールライト―単斜輝石岩類の捕獲岩と単斜輝石巨晶の成因について検討する.炭酸塩やアパタイトを欠き,Ti/Eu比が高く,単斜輝石に富む鉱物学的特徴から,Ganseong地域のウェールライト―かんらん石単斜輝石岩の起源としてかんらん岩―メルト反応は除外される.これらの全岩化学組成(例えば苦鉄質メルトと比べて,MgO量に比してCaO含有量が高く,U,K,PやTiなどの不適合元素濃度が低いこと)は,輝石岩類は結晶化したマグマそのものではなく,少量の残液を含む集積岩であることを示している.無水で斜方輝石を含まない鉱物組み合わせ,かんらん石→単斜輝石→斜長石という晶出順序,鉱物化学組成(例えば同じMg#に対して低Cr#,高TiO2含有量のスピネルや,TiO2およびNa2O含有量の高い単斜輝石)から,親マグマ候補として比較的水に乏しいプレート内アルカリ玄武岩が最もらしい.単斜輝石巨晶の組織と組成から,高圧下でホストマグマから結晶化したのではない.単斜輝石巨晶はウェールライト―輝石岩類の単斜輝石で定義される組成トレンドのFeに富む端成分を占める.輝石岩捕獲岩と単斜輝石巨晶の間でMg#が漸次減少し,大きな組成差がないことは,同様の親マグマの分別と分化であることを示している.単斜輝石巨晶は,Ganseongウェールライト―単斜輝石岩類を形成した一連のマグマの進化過程において,より分別が進んだ段階で結晶化したペグマタイト質の単斜輝石岩の破片であろう.
 
Key Words : clinopyroxene megacryst, Ganseong, Korea, wehrlite–clinopyroxenite.
 

4. Lateral variations in the lithology and organic chemistry of a black shale sequence on the Mesoarchean seafloor affected by hydrothermal processes: The Dixon Island Formation of the coastal Pilbara Terrane, Western Australia
Shoichi Kiyokawa, Takashi Ito, Minoru Ikehara, Kosei E. Yamaguchi, Shoichiro Koge and Ryo Sakamoto

太古代中期の熱水活動に関連した黒色頁岩層の岩相・有機炭素の側方変化:西オーストラリア・ピルバラ海岸グリーンストーン帯・デキソンアイランド層
清川昌一・伊藤 孝・池原 実・山口耕生・高下将一郎・坂本 亮


西オーストラリア・ピルバラ海岸グリーンストーン帯中のデキソンアイランド層は,32億年前の海洋性島弧起源の地質帯で,熱水活動の痕跡と当時の海底になまった珪質な地層が広く分布する.デキソンアイランドでは,海岸線に5劼謀呂辰届続露頭が続き,当時の海底環境を復元できる貴重な場所である.有機物に富む熱水脈の影響を受けた火山岩上に10−20mの黒色チャート層が広く覆っており,2層の凝灰岩層を鍵に層序対比より堆積層の側方変化を明らかにした.黒色チャートの有機物炭素量はおよそ0.1wt/%で,炭素同位対比は脈とともに–40 to –25‰であり,熱水活動の直後に正断層の影響を受けていた.当時の海底は非常に淀んだ無酸素の状態であり,有機物を含む熱水から供給された有機物が分解されずに,熱水起源のシリカとともに広く海底を覆っていたと考えられる.
 
Key Words : Archean, carbon isotopes, black chert, black chert vein, greenstone belt, hydrothermal system, komatiite, normal fault.