Vol. 23  Issue 2 (June)

 

Island Arc Award (2014)

Dissecting large earthquakes in Japan: Role of arc magma and fluids. <Island Arc, 19, 4–16 (2010)>
Dapeng Zhao, M. Santosh and Akira Yamada


日本における地殻大地震発生域の地震学的解剖:島弧マグマと流体の関与
趙 大鵬,M. Santosh, 山田 朗
▶▶日本語要旨はこちら

 

 

通常論文

[Invited Paper]

1. Ambiguous biogeographical patterns mask a more complete understanding of the Ordovician to Devonian evolution of Japan
Mark Williams, Simon Wallis, Tatsuo Oji and Philip D. Lane

曖昧な生物地理学的特徴に隠れた日本列島のオルドビス紀からデボン紀の地質履歴
Mark Williams・Simon Wallis・大路 樹生・Philip D. Lane


オルドビス紀からデボン紀までの日本の化石群の古生物地理学的特徴を理解するためには,複雑な時間的・環境学的・古地理学的な影響を考慮する必要がある. 種のレベルでは、南部北上・飛騨外縁・黒瀬川の各テレーン間における三葉虫・腕足類・貝形虫の化石群は限られた類似性しか示さない.その原因の一つは有殻動物群が断片的な層序学的分布を示すことである.その結果、珊瑚と汎熱帯性の放散虫を例外として,日本列島の古生代テレーンの動物群はテレーン間より東アジアの他の地域とオーストラリアとの類似性が強い. 南部北上テレーンのシルル紀の動物群は北米・ヨーロッパ・中央アジア・オーストラリアとの関係を示唆し、南中国あるいはゴンドワナ大陸の近辺に位置していたことを強く指示する決定的な証拠はない.一方,中期デボン紀の腕足類・三葉虫群は北中国との関係を強く示唆する. 飛騨外縁テレーンの三葉虫・珊瑚・貝形虫の化石群は種類レベルでも当時西側に位置していた大陸域,とりわけ中央アジアとヨーロッパとの類似点が多い.このことは中央アジア造山帯,あるいはそれに関連する地層の続きが日本列島まで伸びていたことを示唆する. また、際だった多様性を持つ同テレーンの貝形虫・三葉虫は東アジアの大陸棚域に生息した動物群との関係を示唆する.黒瀬川テレーンの主要な生物地理学的な指標は珊瑚と三葉虫から示される. これらの動物群は中央アジア・オーストラリア・南中国のシルル・デボン紀との関係を示す. 日本の古生代動物群の生物地理学的な多様性は日本の化石記録の不完全性に加えて、それらの動物の異なる生活様式,生理機能, 幼生時の拡散能力に起因すると考えられる. 古生代の日本列島基盤は北中国地塊あるいは南中国地塊の近辺, または南中国地塊の北方に位置する一つの島弧として形成したとする諸説があるが、 現時点での古生代化石群の知識をレビューすることでそれぞれの解釈の問題点が浮き彫りになった.
 
Key Words: biogeography, brachiopods, corals, early Palaeozoic, Japan, ostracods, palaeogeography, radiolarians, trilobites
 

[Research Articles]

1. Petrogenesis of the late Cretaceous K-rich volcanic rocks from the Central Pontide orogenic belt, North Turkey
Kürsad Asan, Hüseyin Kurt, Don Francis and Ganerød Morgan

北トルコ,中央Pontide造山帯の後期白亜紀高K火山岩類の成因

トルコ, 中央Pontideに広く分布する沈み込みに関連した火山岩類は, Sinop地域から北ではHamsaros火山岩層をなす.火山岩類は高Kカルクアルカリ岩, ショショナイト, 超高K組成を示す.火山岩類の40Ar/39Ar年代は後期白亜紀(約82Ma)で同時期であったことを示す.始原的マントルで規格化した微量元素パターンは, いずれの溶岩もLIL元素(Rb, Ba, K, Sr), Th, U, Pb及び軽希土類元素(LREE: La, Ce)が高度に濃集し, 典型的な沈み込み帯溶岩の特徴を示す.不適合微量元素濃度は高Kカルクアルカリ岩からショショナイトを経て超高K溶岩へと系統的に増加する.さらに, 共存する高Kカルクアルカリ岩質溶岩 (87Sr/86Sr 0.70576–0.70613, 143Nd/144Nd 0.51245–0.51253)よりもショショナイト及び高K溶岩は顕著に高い87Sr/86Sr (0.70666–0.70834)と低い143Nd/144Nd (0.51227–0.51236)初生値を示す.地球化学的データおよび同位体組成は, ショショナイトならびに超高K岩類は, 高Kカルクアルカリ岩類からはいかなる浅所プロセスによっても導くことはできず, 異なるマントルソースに由来することを示す.ショショナイトおよび超高K岩類は沈み込んだ堆積物がリサイクル, 融解し生じた交代作用による脈起源であり, 高Kカルクアルカリ岩類は沈み込み帯起源の流体によって交代作用を受けたマントルリソスフェアに由来する.
 
Key Words: biogeography, brachiopods, corals, early Palaeozoic, Japan, ostracods, palaeogeography, radiolarians, trilobites
 

2. Oligocene crustal xenolith-bearing alkaline basalt from Jandaq area (Central Iran): implications for magma genesis and crustal nature
Samineh Rajabi, Ghodrat Torabi and Shoji Arai

中部イラン,ジャンダク地域の地殻起源捕獲岩を含む漸新世のアルカリ玄武岩:マグマの生成および地殻の性質についての示唆
Samineh Rajabi・Ghodrat Torabi・荒井章司


中部イラン,ジャンダク地域南西部Tobeirehの漸新世のアルカリ玄武岩類はCEIM(イラン微小大陸)中東部に露出し、捕獲岩を含む.玄武岩はかんらん石,単斜輝石,斜長石、スピネル,チタン磁鉄鉱よりなり,アルカリ,チタン,LREE,LILE,HFSEに富む.アセノスフェアの富化したざくろ石レールゾライトの中程度の部分溶融によって形成された.富化は三畳紀から始新世のCEIMの沈み込みによる.マフィック−超マフィック捕獲岩はスピネル(低Cr),かんらん石,高Al輝石,斜長石よりなる.高Alグラニュライト捕獲岩はヘルシナイト,斜長石,コランダム,珪線石よりなり,HFSE, LREEに富み,正のEu異常を示す.グラニュライトはAlに飽和,Siに不飽和な,含斜長石レスタイト起源であろう.これらの捕獲岩は当地域の下部地殻を代表する.
 
Key Words: alkaline basalt, aluminous granulitic xenolith, central-east Iranian microcontinent, Jandaq, mafic-ultramafic xenolith, Oligocene.
 

3. Gas hydrate saturation at Site C0002, IODP Expeditions 314 and 315, in the Kumano Basin, Nankai Trough
Ayumu Miyakawa, Saneatsu Saito, Yasuhiro Yamada, Hitoshi Tomaru, Masataka Kinoshita and Takeshi Tsuji

南海トラフ熊野海盆IODP 314・315次航海C0002掘削サイトにおけるガスハイドレートの飽和度
川歩夢・斎藤実篤・山田泰広・戸丸 仁・木下正高・辻 健


統合国際深海掘削計画(IODP)314・315航海で取得された物理検層情報およびコア情報から,南海トラフ熊野海盆南東縁のC0002サイトにおけるガスハイドレートの飽和度を推定し,ガスハイドレートを形成するガスの移動について検討した.飽和度計算には,2種類の比抵抗値と音波速度値を使用し,このほかに必要な間隙率や地温勾配などの値は,他の検層データやコアデータを用いて算出した.3種類の数式を用いた解析の結果,C0002サイトでのガスハイドレート飽和度は最大30%程度であるが,高解像度データを用いた解析ではガスハイドレートが局所的に農集(飽和度60%以上)している砂層が確認され,堆積盆浅部でのガスハイドレートとフリーガスの共存も明らかとなった.これらは,北西側に位置する熊野堆積盆深部からのガスがこの地域に大量に供給されたことを示唆する.
 
Key Words: Chikyu, Expedition 314, Expedition 315, free gas, gas hydrate, Integrated Ocean Drilling Program, Kumano forearc basin, logging data analysis, Nankai trough, Site C0002.
 

4. Geology and age model of the Lower Pleistocene Nojima, Ofuna, and Koshiba Formations of the middle Kazusa Group, a forearc basin-fill sequence on the Miura Peninsula, the Pacific side of central Japan
Atsushi Nozaki, Ryuichi Majima, Koji Kameo, Saburo Sakai, Atsuro Kouda, Shungo Kawagata, Hideki Wada and Hiroshi Kitazato

三浦半島に露出する下部更新統上総層群中部野島層,大船層,小柴層の地質と年代モデル
野崎 篤・間嶋隆一・亀尾浩司・坂井三郎・甲田篤朗・河潟俊吾・和田秀樹・北里 洋


三浦半島に露出する下部更新統上総層群中部で露頭踏査とボーリングコアの記載に基づき岩相層序を確立し,野島層上部が砂質泥岩と泥岩の互層から,大船層が泥岩から,小柴層下部が砂質泥岩,泥質砂岩,砂岩からなることを明らかにした.またコアから採取した浮遊性有孔虫Globorotalia inflataの酸素安定同位体比に基づき,野島層上部から小柴層下部にMIS49—61までを認定し,年代モデルを構築するとともに,コア中に狭在する24枚の凝灰岩層の堆積年代を決定した.このうち房総半島の上総層群黄和田層中に狭在するKd25およびKd24に対比される凝灰岩層の堆積年代はそれぞれ1573 kaと1543 kaである.
 
Key Words: age model, forearc basin, Globorotalia inflata, Kazusa Group, Kd24, Kd25, Lower Pleistocene, MIS, Miura Peninsula, nannofossils
 

 

▼▼ Vol. 23-2はこちら ▼▼
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/iar.2014.23.issue-2/issuetoc


会員の方は無料で閲覧出来ます(要ログイン)。
ログイン方法はこちらから>>> https://www.geosociety.jp/outline/content0042.html