第12回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:地の造形
写真:佐藤悠大(福岡県)

撮影場所:山口県 山陽小野田市本山岬公園

 

【撮影者より】
礫岩層が海蝕を受け独特の景観を作り出しています.撮影したくぐり岩もその一部で,人が通れるほどの貫通した穴がいくつか空いた形がユニークで観光地になりつつあります.背後に夕日が沈むくぐり岩を遠景に,筋状に走る礫岩層を前景にして広角レンズで遠近感を強調して撮影しました.

【審査委員長講評】
「くぐり岩」はいくつもの海食洞に削られた存在感のある岩です.この作品では「くぐり岩」を遠景に,その延長部である礫岩を手前に配置してクローズアップしています.超広角レンズを使用して全面でピントはシャープ,夕陽をバックに構図も完璧です.階調も申し分ありません. 

【地質的背景】
 本山岬では宇部層群(漸新統;宇部夾炭層ともよばれる)の下部を構成する厚東川(ことうがわ)礫岩層が海食崖をなしています.主に礫岩,砂岩からなり,直下には泥質片岩や蛇紋岩などからなる周防変成岩との不整合があります.礫岩層・砂岩層には平行層理,斜交成層がよく発達し,泥岩層を含みません.礫は小礫で円磨したものが多く,宇部層群は全体に緩傾斜で,固結度もそれほど高くないため,侵食されると礫が基質から分離しやすい特徴があります.(宮田雄一郎:山口大学)

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