第14回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:一期一会の姿

写真:藤倉聖也(群馬県)
撮影場所:東京都 伊豆諸島新島


 


【撮影者より】
東京は伊豆諸島・新島で出会った大きな断層「白ママ断崖」.古代噴火で形成されたそうで,歴史の重みと地球の営みの威厳を,真横から眺めることで感じ取ることができた.ここはコーガ石という軽石で形成されているので,台風・地震・風化でどんどん崩れているそう.島で出会ったおばあさんの「10年後には全然違う姿になるだろうね」という言葉が印象的で,まさに”生きている”地球の証で,この一期一会の姿に感謝だ.

【審査委員長講評】
新島の東海岸にある白ママ断崖を望遠レンズで南に向けて撮影した作品です.遠景は南2km沖にある早島です.このような露頭は日差しが強く当たると影ができてしまいますが,この作品では全体に光が回って地層ごとの粒度の違いが読み取れます.断崖が新鮮で草などに覆われていないのが気持ち良いです.遠景に人などを入れて露頭の巨大さがわかるとさらによかった.

【地質解説】
東京都の新島は,島の南北および周辺の属島である式根島などを形成する複数の溶岩ドームからなる火山です.この写真が撮られたのは新島の東海岸,羽伏浦の南方にある白ママ断崖と呼ばれるところです.断崖を構成する地層は主として,マグマ水蒸気噴火の際に発生した火砕流の一種であるベースサージの堆積物で,西暦886〜887年に噴火したと考えられる島南部の向山溶岩ドームが噴出する際に形成されました.新島の中央部,空港や集落のある平坦地はこのベースサージ堆積物の上面にあたります.奥に見える島は属島の早島(はんしま)です.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所) 

 

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