地質学者に答えてもらおう 回答一覧

 
〜  これまでの質問と回答  〜 

 

Q: 愛知県北設楽郡東栄町は、木曽山脈の南端に位置している、町ということもあり、以前より「木曽山系」と思っていましたが、「赤石山系ではないか?」という意見がありました。どちらなのかわかりますか?また、調べ方はありますか?(匿名)

天竜川を境にして、西側が木曽山脈、東側が赤石山脈という位置 づけに基づけば、東栄町は、天竜川の西側に位置していますので、 「木曽山系」と呼称することで良いかと思います。
一方、地理院 地図では東栄町付近を「美濃三河高原」としています.木曽山脈 の南端を恵那山とすることもあるので,東栄町付近は、「木曽山系」 というよりは「美濃三河高原」あるいは「三河高原」とするのが より的確かと思います.
また、地質情報をお調べになる際は、ネット(Wikipedia等)で情報 検索することも有用かと思います。ただし、Wikipediaは勝手に誰か が書いただけで、検証されていませんので、引用文献を辿るなどして 自身で検証する必要はあります。ご参考まで。
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/赤石山脈
https://ja.wikipedia.org/wiki/木曽山脈

コトバンク:大日本大百科全書(ニッポニカ)
木曽山脈
https://kotobank.jp/word/木曽山脈-474216
美濃三河高原
https://kotobank.jp/word/美濃三河高原-139348
三河高原
https://kotobank.jp/word/三河高原-138331

 

Q: 私は地球の地下、マントルなどに興味があるのですが、地球の地下を掘り進めてもたいした距離まで進めないという話を聞きました。ただその後マグマはマントルが溶けだして浮いてきたものだということを知り、別に掘らなくてもマグマの中に入っていけば硬さなど関係なしにマントルまで行けるのではないかと思いました。そのようなことは可能でしょうか。また地表をただ掘削するだけでなく、岩石を熱して柔らかくしたところで進むなどの方法も可能でしょうか?(匿名)

現在、地底掘削の記録はロシアのコラ半島で掘削されたSG-3が1992年に巣直進度12261mまで掘られました。アジアでは中国が最近記録をした8500mくらいの深度が記録となっているようです。現在、深海掘削船「ちきゅう」でもマントルまで掘削しようとしていますが、技術的な問題が多いようです。特に、熱による影響で先端(ビット)の摩耗が大きく、掘り進んでいくための素材の開発等が進んでいます。 しかし、マントルの上部はリソスフェアと呼ばれる固い岩盤です。一方、その下にはアセノスフェアと呼ばれる柔らかい部分があります。柔らかいといっても、年間数cm程度流動するかどうかのすごくネバネバなものです。いずれせよ固体ですから、私たちの時間レベルで深部に進もうとするなら、掘る必要があります。 また、マントルが部分融解していてマグマがあるので、それを辿ればという意見ですが、鉱物間のマグマは10%も融解すれば鉱物間を伝わって上に移動してしまいます。つまり、超ミクロでもない限り、マントル内のマグマを伝って深部に行くことはできません。また、温度も1300℃を越えます。

 

Q:地殻は上部地殻と下部地殻に分類されていますが、 西南日本弧における古生代〜ジュラ紀の付加体は上部地殻に分類されるのですか?それとも上部地殻も下部地殻も付加体なのですか?(匿名)

上部地殻、下部地殻の区分は岩石の種類で分けています。これに対して、付加体は表層の堆積物、海洋地殻や海山、これらが深部で変成された変成岩からなります。表層に露出している部分もありますが、地面より深いところにある部分もあるようです。たがって、付加体の岩石は正確にいうと海洋地殻や上部地殻の両者を含んでいることになります。このように区分の基準が異なるので単純に分けるのは難しいです。地表の付加体のみを考えると表層にあるので、上部地殻といえると思います。

 

Q:地質・地球活動分野の基本的・教科書的な参考図書、事典的な本などを教えてください。現在、公立中学で理科部指導員をしています(教育委員会からの派遣)。 地質分野への興味が薄く気になっています。私自身、古い中学までの知識しかなく、指導できずにいます。現在、大人の読む高校地学系の本(数研の高校地学、新しい高校地学の教科書)を読み進めていますがもう少し深く知りたいです。どんな本で勉強したらいいでしょうか? また、事典的なものを探しています。2万円以上と高価ですが、アマゾンで『地学事典(地学団体研究会)』を見つけました。が、1996年発行と、少し古いのが気になります。何かいい事典はないでしょうか?どこにお尋ねしたらいいかわからず、失礼します。 教えていただけると幸いです。(匿名)

大学生向きの地球科学の本は多く出ていますが、やはり、地球科学全般が書かれているため、地質の部分は簡潔になっています。また、各本で特徴があり、これだけでいいというのはなかなかありません。比較的まとまっているのは「もう一度読む数研の高校地学」は全体をバランスよく網羅してあります。最近の成果を知りたいときには、中公新書やブルーバックス(地学のススメ、地球の歴史上〜下、図説プレートテクトニクスなど多数)が安価でお薦めですが、どうしてもテーマが個別的になります。地質学会ではField Geologyというシリーズ(共立出版)を出版しています。この本は、野外での調査を中心に総括しており、かなり内容の濃いものにないます。また、日本列島に関しては「絵でわかる日本列島の誕生」、「絵でわかる日本列島の地形・地質・岩石」もわかりやすく解説しています。また、地学事典はアップグレードされていません。地球科学の事典は幾つかがあります。図説地球科学の事典(8856円、朝倉書店)もあります。参考にしてください。

 

Q:私は神奈川県に住んでおりますが、先日、関越自動車道を通って、群馬県を通過した ところ、山々が切り立って、神奈川で見る富士、箱根、丹沢の山々とは山容が違うと思われました。これは、群馬の山々が火山性溶岩の中でも粘り気の強いものでできているからではないかと思いましたが、この理解でよろしいのでしょうか。 また、こうした、日本のおおまかな地域ごとの地質の違いと、その由来を知るのによ い情報源(書籍・Webアドレス等)がございましたらご教示をいただきけません でしょうか。なにとぞの助力を賜りたくご存じ上げます。(匿名)

産業総合研究所から発行されている日本シームレス地質図 (webで簡単に検索できます)を参考にしてください。それを使って調べると、各地域の地層や火山がどのような岩石からできているかわかると思います。

 

Q:高校の部活で地震と雲の関係について研究している者です。 地震で発生した電磁波が雲を発生させるという説が一般にしられており、その科学的 根拠はないとされていますが、《電磁波が雲を発生させる》という事は実証されて いるという記述をいくつか見ました。 このことについての真偽が知りたいです。また、その原理もしくは、原理について触 れられている論文や、研究結果などを教えてください。 (匿名)

この問題は諸説があり確定していないように思います。関係があるという研究者と関係がないという見解があり、議論されているところだと思います。

 

Q:山梨県の三ツ峠山、母の白滝を訪れました。滝周辺の岩で、特に興味を持った3つの岩塊について
●質問●
1. これらの岩の質はどういったものでしょうか?
2. 1-1の岩はどうしてキューブ状になっているのでしょうか。金峰山のような花崗岩の方状節理というものに似ているのでしょうか?
3. 2-1の岩も時間が経つと1-1のようなキューブ状になるのでしょうか?
4. 滝が流れる3-1の岩は1-1や2-1の岩と比べると色が若干黒っぽく、硬そうで鋭い割れ目があるのですが、1-1および2-1の岩とは成り立ちに大きな違いがあるのでしょうか。 (匿名)

産業総合研究所から発行されている日本シームレス地質図 (webで簡単に検索できます)を参考にしてください。それを使って調べると、その場所がどのような岩石からできているかわかると思います。それが火山の石か堆積岩かによって成因は変わりますので、写真だけでは判断がつきかねます。

 

Q: 翡翠の原石を購入し、勾玉を製作していたところ、苦土リーベック閃石にナヌカワ石がついたものと、翡翠が混合した原石であることが分かりました。鉱物に知識のない私は、翡翠であると信じて、ダイヤモンドヤスリで磨いてしまいました。 5gは研磨しました。マスクはしていましたが、サージカルマスクで、風呂に浸かりながら、磨いていました。磨く際には、プラスチックケースに水をはり、水につけながら主に磨いていたので、目視では飛散はしていないようにおもいますが、顔の近くで削っていたときもあり、また、削った後、手は白くなっていました。念入りに何度も何度も手荒い、体を洗いました。これを2度行い、計四時間ほど研磨に費やしました。これがこれまでの経緯ですが、アスベストによる健康被害はありますか? 地元の鉱物に詳しい先生に聞いたのですが、まったく心配ない、と断言してくださいましたが、その判断は正しいですか?角閃石の粉を吸った場合についても教えてください。ルーペで見ると、繊維が含まれているように見えますし、繊維か磨き傷かはわかりませんが、繊維のようなものがみえます。が、繊維が目視で繊維状と分かるほどではありません。気にしなくて良いレベルでしょうか?心配で眠れません。 (滋賀県 タイ さん)

健康被害に関しては、個人差があり一概には言及できません。気になる点は医師に御相談いただいた方がいいと思います。

 

Q:千葉県市原市田淵の白尾火山灰層(地球磁場逆転期の地層)に関連した、以下の内容について教えていただけましたら嬉しいです。 この地層がGSSPとして認定されるとゴールデンスパイクが打たれる、とのことですが、もし正式に認定された場合、認定決定からゴールデンスパイクが打たれるまでにはどれくらいの期間かかるのでしょうか? 地層に打ち込まれていた赤や緑の杭のことを教えていただきたいです(名称や色の意味など)。地層をマーキングするのに一般的な道具なのでしょうか?(現地を見て疑問に思ったのですが、地質学に関しては初心者なため詳細がわかりませんでした) (東京都 はるみ さん)

「ゴールデンスパイクが打たれる」という言い方がされていますが、実際に国際機関が打ちに来てくれるわけではありません。ただし現場でGSSPがどのポイントであるかを示す必要があるので、申請チームや露頭を管理する役場などが国際機関関係者とともに円形のプレートを設置したりスパイクを打つことがあります。 

 

Q:温泉仲間から聞かれたのですが、最近泉質が大きく変わり、湯の色も透明から濁ったものに変わってきた温泉があるので、その理由を知りたいとのことです。具体的な温泉名は、大川温泉 磯の湯  http://www.e-izu.org/spot/202/ 静岡県賀茂郡東伊豆町大川 TEL.0557-22-0248 平成17年4月14日の分析結果では 源泉利用施設名称:いさり火 源泉名:銀泉 大川21号 泉温:71.1℃ pH:8.2 メタケイ酸:0.6mg 成分総計:2.869g/kg 泉質:ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素塩温泉 平成21年11月27日の分析結果 源泉利用施設名称:いさり火 源泉名:銀水 大川21号 泉温:73.3℃ pH:7.13 メタケイ酸:32.1mg 成分総計:2.872g/kg 泉質:ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉 (質問) 4年足らずの間にこんなに成分が変わり、湯の透明度も変わってくる原因は、どんなことが考えられますか。(小堀雄三 さん)

一般論として、天水の量が変わったとか、海水の混合比が変わったとか、火山性の水の量が変わったなどがありますが、個別の温泉の原因については、温泉水を研究している研究所が国内にいくつかありますので、そちらで聞いた方が良いかと思います。

 

Q:千葉県市原市田淵の地球磁場逆転地層についてご質問させていただきます。養老川沿いに歩き実際に赤黄緑のスパイクが打たれている場所の他に、鶴舞方向から田淵会館に向けた細い側道に入る道の手前の橋から、養老川沿いの地層が同じように見えます。この地層の上の方にやはりラインが一本入っているように見える場所があるのですが、これがスパイクの打たれている場所から続く同じ地層と考えてもよろしいでしょうか?現場は川床に降りるにはあまりにも足場が悪く、年輩の方をお連れすることができませんが、この橋の上からでしたら比較的容易に見ることが出来ます。 (匿名)

ご指摘の橋から見えるラインは、おそらく薄い砂の層です。そのあたりの地層は、地磁気逆転層よりも恐らく100mほど上位の地層にあたると思われます。 

 

Q:栃木の大谷石、千葉の房州石、静岡の伊豆石等、本来の日本海側産以外の中新世海底噴出起源の緑色変質した火山岩類に対して、「グリーンタフ」の呼称を用いても学術上の問題はないのでしょうか?(東京都 たぬたぬ さん)

グリーンタフ層の日本語訳は緑色凝灰岩層で、本来は日本海側油田地帯の漸新〜中新の地層に対して使用されていました。主として、後期中新世より古い火山活動による堆積物が主体です。この堆積物は、日本海の拡大に関連して形成されたと考えられています。この名称は広く使われていますが、学術的には厳密に使う必要があります。千葉の房州石は、後期中新世、伊豆石も中期〜後期更新世で形成された時代が違うので使うのは適当ではありません。

 

Q:海底が隆起してできたのは千葉セクションだけなのでしょうか? イタリアのモンテルバーノ・イオニコと、ビィラ・デ・マルシェは隆起とは違うのでしょうか? ポールシフトが起こったとき、地上ではどんな変化が起こっていたのでしょうか? オーロラが千葉で見れたり、渡り鳥が渡らなかったのではないかといわれているそうですが、生きものは大丈夫だったのでしょうか? 隕石などがたくさんおちたり、放射線が強くあったったりしたのでしょうか? (千葉県 しゅう さん)

海底が隆起してできた地層はたくさんあります。ヒマラヤ山脈もその一つです。イタリアのそれらの場所がどのような岩石からできているか、情報がないとお答えできませんが、海成層なら隆起したものと考えられます。また、ポールシフトが起こったときに絶滅が起こったと書かれた論文もありますが、頻繁に大きな事件があったという証拠はないようです。しかし、どのような環境変化が起こったのかはわかっていません。あるいは、何も起こらないので、地質記録に残っていないのかもしれません。

 

Q:「山形県西置賜郡飯豊町大字広河原字湯ノ沢448-2」に広河原温泉という間欠泉があり、湯船の真ん中から、間欠泉が絶え間なく吹き上げています(0m〜3mぐらい)。旅館の案内板によると「炭酸ガスにより噴き出す」と書いてありました。四六時中噴き出しているので間欠泉と言わない方が良いのかも知れませんが、この間欠泉の地下構造と、どのような作用により、間欠泉が噴き出すのでしょうか。 (小堀雄三 さん)

間欠泉は地下水(温泉水)が噴出したり休んだりを繰り返す現象をいいます。間欠泉は、水蒸気を噴出する間欠沸騰泉と炭酸ガスを噴出する間欠泡沸泉とに大別されます(大沢編、「温泉科学の新展開」ナカニシヤ出版、2006)。 ともに、地下でガスの圧力が上昇し、割れ目やボーリング孔などを通じて一気に地表へ噴出し、噴出後に地下の圧力が大気と同じになると、活動は停止し,またガス圧の上昇が始まるというメカニズムです。前者は水蒸気の圧力で有り、後者は炭酸ガスによるものです。 我が国における間欠沸騰泉の例としては、宮城県鳴子町の吹上間欠泉、長野県諏訪市の諏訪間欠泉などがあります。45分間隔で噴出する世界的に有名な米国イエローストン国立公園の間欠泉も,これに含まれます。  間欠泡沸泉の例としては、島根県吉賀町の木部谷間欠泉や質問の中で述べられている山形県飯豊町の広川原間欠泉などがあります。  いずれの場合にも、ガスの圧力が上昇するためには一旦ガスが地下で貯留される必要があり,上部を栓シールするような地質構造が必要となります。 ご質問の間欠泉は炭酸ガスが噴出していることから、間欠泡沸騰泉と考えられます。このタイプの間欠泉は一般に炭酸泉であり、もともと地下深部では炭酸ガスが水中に溶け込んでおり、地表付近では圧力が低減するためにガスが出現します。これを脱ガスと呼んでいます。これはラムネのガラス玉を抜くと炭酸ガスの泡が吹き出る現象と同じです。島根県の木部谷(きべだに)間欠泉では正確に約25分間隔で噴出が起こり、噴出は約5分間継続し、最も活動的なときの水柱は約2m程度の高さまで到達します。 噴出する地下水の酸素水素同位体比や水質などの特性より、間歇泉にはわずかですが、地下深部からもたらされた涼み混んだスラブから放出された深部流体が混入している可能性が指摘されています。 間欠泉における地化学特性の時間変化から,噴出初期は地下浅部に浅層地下水が流入し,噴出し、噴出中期になると深部流体の寄与が最も大きい地下水が噴出する.そして,徐々に浅層地下水の流入が起こり始め,希釈された地下水が噴出すると考えられています. 噴出箇所には断層の分布が想定されており、粘土などがらなる断層破砕帯が、岩盤に蓋をして栓ようなの役割をしたために、炭酸ガスを含む地下水が一時地下に滞留し、脱ガスによりガスの圧力が高まり噴出したものと考えられます。

 

Q:黒曜石は流紋岩と同様の成分なのになぜ黒いのでしょうか(神奈川県 渡邊裕 さん)

黒曜石はガラスなので、光が一方向に通らないので黒く見えます。スリガラスも光が一方向に通らないのでみえないのと同じ原理です。

 

Q:私は年金生活になってから石に興味を持った初心者です。先日(10月9日)NHK BS 15:30〜『グレートネイチャー選 大隆起の絶景台湾』と言う番組見ました。その番組では『フィリピン海プレートがユーラシアプレートに乗り上げているので台湾は隆起している』と言っていると理解しました。しかし(1)日本列島(西日本)はユーラシアプレート上にありその下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる(ので東海地震などが心配されている)。(2)海洋プレートは重いので軽い大陸プレートの下に沈み込む。と思っていましたので違和感を感じました。そこで、何故台湾島ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの上に乗り上げるのか?をご教授お願いします。宜しくお願いします。 (愛知県 藤戸石 さん)

海洋プレートが他のプレートに乗り上げる例は、他の地域でも観察されています。たとえばオマーン地域にある地層はその代表的な例と考えられています。しかし、台湾の場合はこれとは異なり、ユーラシアプレートが逆にフィリピン海プレートの下に沈み込んでいるため、その前面につくられた付加体とよばれる堆積物が積み重なって隆起帯を構成していると考えられています。

 

Q:地学をかじり始めたばかりです。 石を拾いました。調べたところ鉄丸石だと思っていますが、どのようにしてこの丸いものが出来たのでしょうか。しかも1500年程度で出来たようですが。不思議です。出来方はどの様な過程でしょうか。お教えください。 (塩沢邦夫 さん)

神奈川県立博物館の調査研報(自然)2012, 14, 93-102に詳しいことが書いてあります。そちらをご参考ください。
蟹江ほか 2012. 四万十累層群の生痕化石起源の炭酸塩類コンクリーション – 三浦半島と房総半島の葉山・保田層群産へそ石・ 静岡県と高知県の瀬戸川層群と室戸半島層群産鉄丸石 –

 

Q:千葉県田淵付近にある地層のうち、白尾火山灰層(Byk-E)に含まれているSiO2成分は、42.84%だそうです。(古期御岳火山起源の中期更新世テフラと房総半島上総層群中テフラの対比 より)42.84%だと、玄武岩よりもその割合が低く、(ニューステージ 新地学図表 より)色が黒いものだと予想していたのですが、先日修学旅行で行ったところ、彩度が高く、驚きました。なぜですか? (千葉県 菊花石 さん)

この値は、Takeshita et al.(2016)という論文の値ですが、火山灰に含まれている角閃石という鉱物の化学組成を示したものです。火山灰全体のSiO2成分はもっと高いです。

 

Q:堆積岩(れき・砂・泥など)からできた地層からはどんな化石でも見つかることがあるのでしょうか。例えば,アンモナイトは泥岩層からでしか産出されない。ブナの葉の化石は砂岩層からでしか見つからない。あるいはどの化石も,どのような層からも産出されるなど特徴があるのでしょうか。ブナの葉,アンモナイト,三葉虫,貨幣石,ビカリアなど代表的な化石についてお聞かせ願えないでしょうか。よろしくお願いいたします。 (回答者匿名)

堆積した環境によりみつかる化石は異なります。場合によっては、礫岩、砂岩、泥岩からも同じ化石が見つかることもあります。ブナの葉は通常、陸上で堆積することが多いので、砂岩、泥岩、凝灰岩から産出すると考えられます。それ以外の3つの化石は海の生物の化石で、砂岩、泥岩、石灰岩などから産出します。これらの化石は、古生物図鑑などをみると写真や図が掲載されていますのでそちらを参考にしてください。

 

Q:新(または修正)モース硬度は何時誰が決めたものですか?

ドイツの鉱物学者Friedrich Mohsが作ったそうです。1822年頃から使われるようになりました。

 

Q:黒い溶岩石を造園として利用しようとしています。そこで一点教えていただきたいのですが、黒っぽい溶岩石の比重はどの程度でしょうか。多孔質のものとそうではないものとある様なのですが、其々どの程度の比重か教えてください。 (伊波一哉 さん)

岩石も黒っぽいだけでは比重はわかりません。岩石名は何なのでしょうか。まずはそれを調べてみてください。

 

Q:日本のごく一般的な地質で、上部に積載加重が無い場合において、短期的に見て、垂直に掘削した場合、何mの高さまで自立してくれるのでしょうか。 (富山県 シロハカセ さん)

「築城に関してのご質問のようですが、日本の地質は多様であり、「ごく一般的」という観点でお答えすることは難しいです。山地をなす深成岩や変成岩、新第三紀以前の堆積岩ですと硬いですが、硬すぎるとそもそも掘削に困難を伴います。一方、平野に分布する沖積層は軟らかく、加工しやすい反面崩れやすくもあります。また沖積層の中でも崩れやすい層と崩れにくい層があります。垂直に掘削した場合に最も崩れやすいのは砂丘のような未固結な砂層で、掘ったそばから崩れてしまいます。泥の層は砂よりも崩れにくく、数mから10mは自立するのではないでしょうか。大まかには丘陵地は山地よりも柔らかく、平地よりも硬い地層が分布しますが、場所によりけりです。」

 

Q: 花崗岩を体内に摂取してしまった場合の内部被ばくの危険性はどの程度ありますか。先日,焼き栗を食べた時に,細かな黒い粉がたくさんついており,拭き取りきれず,食べた時にじゃりじゃりしたのですが,後からその粉は焼き栗を作る時に使用される花崗岩(御影石)だと知りました。花崗岩は放射性物質だと聞いたことがあるため,内部被ばくの危険性があるかどうか,また,あるとしたらどの程度なのか心配になりました。すでにQ&Aに花崗岩を砂利として使用した場合の危険性についての投稿・お答えはありましたが,実際に石そのものを体内に摂取してしまった場合についての危険性につきまして,ご意見を伺わせていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。 (回答者匿名)

「花崗岩1kgあたりの放射能は約1,200Bq(ベクレル)で、これはウランの鉱石として採掘される燐銅ウラン石や燐灰ウラン石の約7万分の1です。また、そもそも人体もカリウム40や炭素14による放射能を持っていますが、人体の放射能は、体重1kgあたり約96Bqで、体重70kgの成人男性の場合約6,700Bqとなります。仮に花崗岩を10g体内に摂取したとしても、それは人体自身が発する放射能の数百分の1にしかならず充分に低い値で、また1日もすれば排泄されますので、被ばくの危険性は限りなく低いと考えられます。」

 

Q:含礫泥岩の扱い方について質問します。私の学生時代(1980年代のはじめ)のころは,含礫泥岩というと氷床や氷山などによって運ばれた礫が海洋底の泥層中に含まれる場合や,海底地すべりによって周囲の未固結堆積物と混ざり合ってできた異常堆積物というように,成因がはっきりしている用語と認識していました。でも,最近の論文などでは,付加体地質における混在岩の別名のような表現をされているものを見かけます。混在岩はメランジュの中で2.5万分の1地質図では表現できないような小規模の岩体について記載する用語で,しかもその成因については限定していないと思います。なので,「含礫泥岩を起源とする構造性メランジュ」というなら理解はできますが,「含礫泥岩は混在岩と同義語」と書かれているものについてはどうも合点がいきません。とはいえ,言葉は時代とともに変化するもの。わたしの学生時代からは随分と時が流れたので,今や含礫泥岩の扱い方も変化したのでしょうか。ご回答のほどよろしくお願いいたします。 (回答者匿名)

「含礫泥岩」は,「泥岩中に礫を含む堆積岩のことを言う記載用語」です.その成因として,海底地すべりによる周囲の未固結堆積物との混合などが挙げられています.一方「混在岩」は,おもに泥質基質中にいろいろな種類の岩石がまじりあった岩石で,構造性メランジュや泥ダイアピルなども含みます.堆積性のものと判断した場合に含礫泥岩と呼ぶこともあります.

 

Q:石灰岩の生成は、生物起源と科学的沈殿の2種類があります。生物起源は、遠い外洋でサンゴなどが堆積し、これがプレートに乗って移動し付加体となったものと理解しています。しかし、外洋から運ばれたもの以外で、陸の大陸棚に堆積してできた石灰岩もあると聞いています。この場合、大陸棚では石灰岩ができるほどの大量の生物起源の堆積物があるのでしょうか。 (茨城県 inakamon さん)

通常、世界の石灰岩をみると大陸の縁辺で形成された石灰岩は大量にあります。大陸縁辺は海洋底よりも生物の生産量が高いので容易に石灰岩が形成されます。

 

Q:東京都あきる野市にある、弁天山の地質と弁天洞窟の岩質を教えてください  (東京都 ジオダイスケ さん)

産業総合研究所から発行されている日本シームレス地質図 (webで簡単に検索できます)を参考にしてください。それを使って調べると、その場所がどのような岩石からできているかわかると思います。

 

Q:六甲山系の谷を歩いていると岩肌が赤く染まっている箇所をよく見かけます。画像検索をしたところ和歌山県のハリオの滝でも同じような赤い色の写真を見つけました。知り合いの岩石に詳しい人に聞いたら熱水貫入じゃないかと言われたのですが、熱水貫入の画像を調べても同じような色は見当たりません。これらは本当に熱水貫入で赤いのでしょうか? (鳥取県 太朗 さん)

画像では解像度が悪くよくわかりません。産業総合研究所から発行されている日本シームレス地質図 (webで簡単に検索できます)を参考に地層を調べてみてください。その場所がどのような岩石からできているかわかると思います。

 

Q:花こう岩は、水がある地球だけに存在するもので、ほかの惑星には花こう岩はない」という話を聞きます。 それなら、玄武岩質マグマから分化作用で生成する火山岩の安山岩や流紋岩、また、深成岩の斑れい岩や閃緑岩なども地球上には存在しないということになるのでしょうか。 (茨城県 inakamon さん)

玄武岩マグマの分化で生じる花崗岩質マグマの量はとても少量です。また、水のない条件で玄武岩を溶かして作る花崗岩マグマも少量です。このような少量の花崗岩質マグマの存在は現在の観測体制では見つけることはできません。なので、このような少量の花崗岩の存在を否定しているわけではありません。一方、地球のように岩体レベルで見られる花崗岩は存在していません。安山岩質と思われるものは他の惑星でも見つかっています。 ちなみに、安山岩マグマは玄武岩マグマの分化というよりは、玄武岩マグマと地殻の混合・融解(混染という)、が重要なプロセスです。

 

Q:那須塩原の遊歩道、回顧コースで変わった岩を見つけました。岩に生えている苔が木の年輪の様になっています。この様な岩は自然にできるものなのでしょうか。 (群馬県 森部正樹 さん)

コケが生えているのでどのような岩石か写真だけでは判断は難しいですが、人為的なものではなさそうです。

 

Q:高速の北関東道で佐野方面から太田方面へ向かう足利の五十部トンネルを抜けて渡良瀬川までの間の左側に山を削った場所があるのですが、その場所に出べそのように地層の岩体があります、色は黄土色と赤茶の中間くらいです、毎日のように高速道路から見ていて気になってしょうがないです、いつの時代のものなのか知りたいのですがどうしたらよいのでしょうか (群馬県 たつ さん)

詳しい場所の情報がないとわかりません。産業総合研究所から発行されている日本シームレス地質図(webで簡単に検索できます)を参考に地層を調べてみてください。その場所がどのような岩石からできているかわかると思います。

 

Q:昔の地球の磁場が岩石に記録されているといいますが、カセットテープのように消えてしまわないのはなぜですか? (ja7tdo さん)

高温になったり(600℃ほど)、融解したりすると消えますし、雷が当たったら変化してしまったりします。また、鉱物が変質したりしても消えます。


 

Q:ISS、宇宙ステーションの実験で、生卵とゆで卵を回転させる様子がyoutubeにありました。ゆで卵は、くるくる回転しますが、生卵はすぐに不安定な回転になります。地球の外核は液体だそうですが、生卵のように不安定な回転にならないのはなぜでしょうか?https://www.youtube.com/watch?v=BPMjcN-sBJ4 実験では、液体をつめたボトルも回転させていますが、やはり不安定になります。地球の回転が安定しているのは、中に液体がないからではないでしょうか?

外核が液体でできていることは地震波の研究から明らかになっています。時間スケールと粘性が全く異なります。

 

Q: 神奈川県逗子市の二子山を源とする葉山町の「森戸川の上流部」の沢床が赤褐色の岩盤なのですが、この岩(石)は何の石でしょうか?(神奈川県 吉田 さん)

5万分の1地質図幅「横須賀」をご覧下さい.森戸川の上流部は葉山層群の大山層の凝灰質砂岩です.過去の火山の噴火に由来する砕屑粒子を比較的多く含む砂岩で,粗いところは礫岩のところがあり,泥岩も挟みます.
河床の石が赤褐色なのは,水の影響により酸化鉄が生じ,そのおかげで赤く見えているからではないかと思われます.森戸川沿いには林道があります.その路肩の新鮮な崖はあまり赤くなく,川底や風化した部分が赤いのではないでしょうか.ぜひ再度観察されてはいかがでしょうか.(回答者匿名)

 

Q: 先般テレビで亀岡の砥石を作っておられる方がテレビに出ておられました.この中で砥石となる泥岩は、はるか昔、ハワイ付近の海底で堆積した泥がプレートの移動と、海底の隆起で亀岡に出て来たとの事を説明されていました。日本ではこの京都の亀岡や高雄以外に、九州地方は出ている所があると聞いていますが、東北、北海道でも出ている地域はあるのでしょうか。又、亀岡には砂岩以外に桜石というものがありますが、根室の車石などが出来たのとも同じような海底隆起、浸食という歴史と関連するのでしょうか。(大阪府 KON-cyan  さん)

京都周辺で砥石として採掘されている岩石は,砂などの砕屑粒子が運ばれてこない,陸から離れた地域でたまった粘土が岩石になった後に,マグマによる熱の影響を受け,さらに少し風化したものが採掘対象で,「鳴滝砥石」などとして採掘されています.この岩石は泥岩の仲間でも特に粒度の細かい粘土岩で,古生代ペルム紀と中生代三畳紀の境で起きた海水の酸素の欠乏の直後にたまった,前期三畳紀の粘土岩です.これらは,チャートに覆われつつ海洋プレートの移動によって大陸の縁までやってきて,海溝でたまった砂などとともに,中生代ジュラ紀に大陸の縁にくっついて付加体という地層になったものです.このような成因のため,同様の岩石は,「ジュラ紀付加体」と呼ばれる地層の中にチャートとともにあるのが普通です.ジュラ紀付加体の分布は,20万分の1日本シームレス地質図(旧版)の機能を使うとわかります.ただ,砥石として利用可能なものは,この前期三畳紀の粘土岩が弱い熱の影響を受け,さらに少し風化したものである必要があるので,条件は限られます.なお,亀岡の桜石は,泥岩が,砥石よりマグマだまりにずっと近いところに位置したことによって,より高温の接触変成作用を受けて菫青石という鉱物が新たにでき,変質作用によってその鉱物の結晶の形が浮かび上がったもののことです.根室の車石はもとはマグマそのものであり,マグマの冷却でできた節理が放射状に広がって車輪のように見えるもので,両者の成因は異なります.(回答者匿名)

 

Q:山形県西置賜郡飯豊町大字広河原字湯ノ沢に広河原温泉という間欠泉があり、湯船の真ん中から、間欠泉が絶え間なく吹き上げています(0〜3mぐらい)。この間欠泉の地下構造と、どのような作用により、間欠泉が噴き出すのでしょうか。

(神奈川県 小堀雄三さん)

間欠泉は地下水(温泉水)が噴出したり休んだりを繰り返す現象をいいます。間欠泉は、水蒸気を噴出する間欠沸騰泉と炭酸ガスを噴出する間欠泡沸泉とに大別されます(大沢編、「温泉科学の新展開」ナカニシヤ出版、2006)。 ともに、地下でガスの圧力が上昇し、割れ目やボーリング孔などを通じて一気に地表へ噴出し、噴出後に地下の圧力が大気と同じになると、活動は停止し,またガス圧の上昇が始まるというメカニズムです。前者は水蒸気の圧力で有り、後者は炭酸ガスによるものです。 我が国における間欠沸騰泉の例としては、宮城県鳴子町の吹上間欠泉、長野県諏訪市の諏訪間欠泉などがあります。45分間隔で噴出する世界的に有名な米国イエローストン国立公園の間欠泉も,これに含まれます。  間欠泡沸泉の例としては、島根県吉賀町の木部谷間欠泉や質問の中で述べられている山形県飯豊町の広川原間欠泉などがあります。  いずれの場合にも、ガスの圧力が上昇するためには一旦ガスが地下で貯留される必要があり,上部を栓シールするような地質構造が必要となります。 ご質問の間欠泉は炭酸ガスが噴出していることから、間欠泡沸騰泉と考えられます。このタイプの間欠泉は一般に炭酸泉であり、もともと地下深部では炭酸ガスが水中に溶け込んでおり、地表付近では圧力が低減するためにガスが出現します。これを脱ガスと呼んでいます。これはラムネのガラス玉を抜くと炭酸ガスの泡が吹き出る現象と同じです。島根県の木部谷(きべだに)間欠泉では正確に約25分間隔で噴出が起こり、噴出は約5分間継続し、最も活動的なときの水柱は約2m程度の高さまで到達します。 噴出する地下水の酸素水素同位体比や水質などの特性より、間歇泉にはわずかですが、地下深部からもたらされた涼み混んだスラブから放出された深部流体が混入している可能性が指摘されています。 間欠泉における地化学特性の時間変化から,噴出初期は地下浅部に浅層地下水が流入し,噴出し、噴出中期になると深部流体の寄与が最も大きい地下水が噴出する.そして,徐々に浅層地下水の流入が起こり始め,希釈された地下水が噴出すると考えられています. 噴出箇所には断層の分布が想定されており、粘土などがらなる断層破砕帯が、岩盤に蓋をして栓ようなの役割をしたために、炭酸ガスを含む地下水が一時地下に滞留し、脱ガスによりガスの圧力が高まり噴出したものと考えられます。(回答者匿名)

 

Q:  海洋プレートは、海嶺で上部マントルのかんらん岩を融かした玄武岩からなりますが、沈み込み帯でできる大陸プレートも花崗岩の下には玄武岩が存在するのでしょうか。

(茨城県 inakamon さん)

ユーラシア大陸や北米大陸などの大陸プレートは大まかに言うとケイ素やアルミニウムに富んだ花崗岩質の上部地殻と鉄やマグネシウムに富んだ玄武岩質の下部地殻から構成されていると考えられています。
このような玄武岩質の下部地殻はマントルで出来た玄武岩質マグマが大陸の底に繰り返し貫入して固まることで成長してきたとされています。でも玄武岩といっても大陸の厚さは平均して40 km程度ありますので、そういった深いところで玄武岩質マグマが固まるとハンレイ岩と呼ばれるような完晶質の深成岩や、それが高温・高圧下で鉱物種が変化した変成岩になります。またこのような玄武岩質下部地殻が部分的に融けることで大陸地殻の元となる花崗岩質マグマが出来るのですが、融け残った物質は玄武岩質、あるいはもっと鉄やマグネシウムに富んだ超苦鉄質岩と呼ばれるような岩石になります。
このように大陸プレートの下部は玄武岩質の深成岩・変成岩や花崗岩質マグマを作ったあとの融け残り岩などの多様な岩石から構成されている可能性が高いと考えられていますが、大陸の深いところを直接研究することは難しく不明な点も沢山あります。このため昔の大陸プレートの深い部分が上昇して現在の地表に露出している場所(南極など)で現在も精力的に研究が進められています。(回答者匿名)

 

Q: リップルマークとクロスラミナの違いを教えてください。

(埼玉県 かべちゃさん)

リップルマーク、クロスラミナ(斜交葉理)はどちらも水流や風などの流れによって形成される構造ですが、リップルマークは堆積物の表面(たとえば海底など)に見られる形態をあらわすのに対し、クロスラミナは堆積物の内部または断面に見られ、層理面に斜交する葉理のことを言います。リップルマークのうち、水流により形成されるものを日本語で漣痕と呼びます。(回答者匿名)

 

Q: 伊豆半島ではプレートの移動や衝突の証拠を見ることができるが、これとは逆にプレートが開く場所を見られるジオパークがある国は何処でしょうか。

(静岡県 ランチチさん)

プレートが開く場所を見られる国はアイスランドです。アイスランド島は大西洋中央海嶺にホットスポットが重複することで形成された島で、海嶺の延長の火成活動を陸上で見ることができる数少ない場所です。カトラ (Katla Geopark)とレイキャネス (Reykjanes Geopark) の2つのジオパークが世界ジオパークに登録されています。(山口飛鳥)

 

Q: 日本シームレス地質図を見ての疑問ですが、足利市を中心とし、渡良瀬川左岸、北東側に同心円上に地層が分布している様に見られるのですが、他を探しても同じ様な所は見当たりませんでした。長い時間をかけて約180度曲げられたということでしょうか?

(栃木県 gagiさん)

この付近の地層は1.7億年前くらい前に,海洋プレートの沈み込みによってできた「付加体」と呼ばれる複雑な地層です.同心円状ではなくて,足利市の方向に開いたU字状に見えますね.折れ曲がるのにかかった時間は1.7億年よりはるかに短く,地質学的には一瞬の時間で形成されたものでしょう.ただ人間から見るととても長い時間ですが.
地表でこのように折れ曲がってみえる構造を褶曲と言いますが,地層は表面だけではなく三次元で考える必要があります.立体的に考えてみてください.三次元的には同じ形態でも,どの部分が地表面になるかで,地質図に表される形は変わります.似たような地層の分布は岐阜県南部などにもあります.探してみてください.(斎藤 眞)

 

Q:   日本列島が沈没する可能性ってどのくらいですか?

(匿名希望)

地すべり、火山噴火、地震による沈降、隕石衝突などに伴って陸地の一部が海底に沈むことはあります。また、温暖化による海水準の汎世界的な上昇により、標高の低い土地が水没することもあります。しかし、それらを除けば、日本列島全体のような広範囲の陸地が数日〜数十年で短期間に海底に沈む地学現象は知られていませんし、力学的にも困難です。なので、小説や映画の「日本沈没」のように、「日本列島全体が、数日〜数十年で沈没する」という確率はほぼ「0」と言っていいと思います。数千万年〜数億年の時間スケールでは大陸は徐々に大きくなったり、逆に小さくなったりすると考えられており、さまざまな地質学的証拠から大陸の成長・消滅過程を読み解く研究もなされています。(山口飛鳥)

 

Q: 火山の本を読んでいたら、「火山灰を調べたら、どこの火山か分かる」というようなことが書いてありました。それは、どうして分かるのでしょうか。どんなちがいがあるのでしょうか。含まれる物がちがうのでしょうか。結晶の形や色などがちがうのでしょうか。見たことはありませんが、灰を顕微鏡などで見ると分かるのでしょうか。 

(富山県 匿名希望)

火山灰には、地下のマグマ(どろどろに融解した岩石)から晶出した結晶(鉱物)や、マグマのしぶきが空気中で冷えて固まった破片(火山ガラス)が含まれています。マグマの性質は火山ごとに異なり、また同じ火山でも噴火ごとに異なります。そこで、マグマの性質を反映する火山灰の色や組織、火山灰中に含まれる鉱物の種類や割合、火山ガラスの屈折率や化学組成などといった情報を抽出し、さまざまな地点の火山灰の情報をもとに作成されたカタログと比較することで、どこの火山でいつ噴火した火山灰なのかを知ることができます。

 

Q: (東京都多摩市)大栗川の宝蔵橋から上流の新堂橋付近にかけて、川底が青みがかった灰色の粘土のような地質となっており、そこには15×9mm程度の二枚貝の化石があります。この地質は何時頃のもので、何故そこに貝の化石があるのでしょうか。

(りんごさん) 

地域の地質に興味を持つ地元の方のご質問ということで,大変嬉しく思います.ご質問の地層は上総層群連光寺層といい,約150万年前に浅い海で堆積した砂や泥からなります.浅い海底に生きていた貝の化石やゴカイの仲間の住み跡が良く見られることで有名です.連光寺層は,多摩川の河原にもよく露出していますので,ご覧になられることをオススメします.専門的な内容については,産総研発行の5万分の1地質図幅「八王子」および「青梅」,また電子版の「地質図Navi(https://gbank.gsj.jp/geonavi/)」もご参照ください.今後とも,日本地質学 会を宜しくお願いいたします.(植木岳雪)

 

Q: ジュール・ベルヌの『海底二万マイル』を読んでいて、ギリシャの火山の描写で疑問を感じました。西暦69年に沈み、1866/2/13に現れたアフロッサ島(実在するか存じません)は、「島の形は丸く、直径300フィート、高さは30フィート。長石の破片のまざったガラス質の黒い溶岩」とありました。この火山は溶岩ドームで酸性岩だと思うのですが、SiO2が多いという記述からすると色は白っぽいのでは?この火山は火山岩でしょうか?それとも深成岩ですか?ギリシャの火山の特徴と、黒い理由についても教えて下さい。

(東京都 さゆみん) 

ジュール・ベルヌの『海底二万マイル』に出てくるギリシャの火山はサントリーニ火山だと考えられます。サントリーニ火山は約3600年前のミノア噴火で大量の軽石を放出、径7.5×11kmのカルデラを生じ、現在、サントリーニ島、ティラシア島、アスプロニシ島、ネア・カメニ島、パレア・カメニ島の5つの島からなります。三つの島(サントリーニ島、ティラシア島、アスプロニシ島、)は外輪山の残骸で、特に、サントリーニ島の高さ200-300 mのカルデラ壁とその上の白壁の家々はエーゲ海の著名な観光地の一つになっています。ネア・カメニとパレア・カメニの二島はカルデラの中にできた中央火口丘 (溶岩ドーム)です。ノーチラス号は「ネア・カメニとパレア・カメニとのあいだの水路にいる」と書かれています。これら二つの島はカルデラが形成されたあと、紀元前197年に海面上に出現し、最後の噴火は1950年です。1866-70年にネア・カメニの周辺で海底噴火が起こり、三箇所から溶岩を噴出しました。ジョージ、アフレッサというのはその内の二箇所の溶岩噴出口の名前のようです。新しい火口は溶岩流出により、ネア・カメニ島と合体したので、現在はこのような名前の島はありません。ネア・カメニとパレア・カメニはカメニ火山と呼ばれており、SiO2(シリカ)量が65%前後のデイサイト溶岩からできています。シリカ量の多い溶岩でも、ガラス質のものは黒色です。特に海底に噴出するデイサイトは黒いことが多いので、色からシリカ量を推定することはできません。(田村芳彦)

 

Q:  花崗岩(御影石)について 、私は彫刻家で彫刻の素材として、御影石を使用しているのですが、どれぐらいの期間で風化がはじまるのでしょうか。素材の限界を知りたいのです。web上では、半永久的と出てくるのですが、真砂土があるのでそんなことはないはずで、仕上げ方法にもよると思いますが、切り出した状態で、おおよそで、100年単位でもかまいませんので、風化のはじまり時期及び真砂土になるまでの期間をお教え下さい。

(東京都 彫刻家) 

花崗岩が、石材や外壁材として加工後、大気や雨水に触れる状態になれば、顕微鏡で見るスケールとはいえ、必ず風化が始まります。花崗岩は、鉱物の結晶(石英や長石、黒雲母など)が集合した緻密な岩石で、一見隙間がないように見えますが、顕微鏡で見ると、数ミクロン程度の隙間が必ずあります。そこから雨水がしみ込み、わずかずつですが、鉱物を溶かし始めます。これが風化の始まりです。時間が経つと、溶解によって隙間が広がり、そこに自然界では苔などの植物が付着・繁殖し、根から出される根酸などによってさらに溶解が促進されることになります。ご質問にある風化の速度についてですが、地質学的な調査事例として、年代の分かる墓石の風化や、埋没年代の分かる段丘礫の調査などがあります。墓石の研究から言えるのは、100年程度であれば墓石でも十分に形状は保つものの、ピカピカに磨いてあった表面の鉱物も、わずかに溶解され、肌触りがざらざらになってくるということです。
約30万年前の河岸段丘に含まれていた円礫の花崗岩は、その形状は保たれていますが、指で崩すことのできるいわゆる「くされ礫」となっていることが報告されています。つまりこれは「真砂」の状態です。約30万年かかって、ちょうど真砂になりきったのかどうかは分かりませんが、真砂になるには少なくとも100年単位ではなく、おそらく万年単位の時間が必要だと考えられます。
もちろん、風化する速さは水の量に大きく左右されますので、乾燥地域(状態)ほど遅くなります。また、同じ約30万年前の河岸段丘に含まれている砂岩礫では、表面が褐色になっているものの、くされ礫という状態にはなっていません。つまり、岩石の種類によっても風化の速度が異なることがわかります。

 

Q:「造陸運動」とはどのようなものですか?

(兵庫県 Kさん) 

「造陸運動」
英語では,“epeirogeny”または“epirogenetic movement”といいます.19世紀末から20世紀初めに、世界中の山脈がどうやってできたかを議論しているときに出てきた理論です。
1890年にアメリカの地質学者G.K.ギルバートが初めて提唱し、1919年にはドイツの地質学者のH.シュティレが定義しなおしました。大陸のような広い地域が、地質構造の著しい変化なしに隆起したり沈降したりする地殻の運動のことです。ふつう、非常に長い時間をかけて徐々に起こる変動と考えられ、急激な造山運動とは区別され対立するものとされました。
つまり、造山運動を考えるときに、ゆっくりした運動を区別したものです。現在はこの考え方はほとんど使われていません。(日本地質学会会員 矢島道子)

 

Q:千葉県市原市田淵の白尾火山灰層は更新世前期、中期境界の国際模式地として認定されたのでしょうか?ゴールデンスパイクが打たれるのか話題になっていたようですが、その後のことがわかりません。教えて頂けますでしょうか。

(千葉県 どんぐりさん) 

下部ー中部更新統境界の国際模式地については、イタリアの2セクションと千葉セクション(市原市田淵)の計3セクションが模式地候補となっていますが、これまではどの候補地も決め手に欠き、結論が先送りされてきました。しかし先の国際層序委員会(ICS)において、その下部組織である第四紀層序委員会(SQS)が2015年(来年)中に結論の原案を作成することが決定されました。正式な模式地としての承認は、国際層序委員会における委員の投票(おそらく2016年開催の万国地質学会で行われる)で決まるので、委員に対して候補地の地層が模式地としてふさわしいという印象を持ってもらう必要があります。そのため各候補地に関係する研究者グループでは、国際層序委員会の委員を交えた形のシンポジウムや巡検(地層の見学旅行)を企画しています。日本でも来年秋に名古屋で開催される国際第四紀学会の時に、関連シンポジウムや千葉セクションの巡検を企画しており、関係する研究者グループが鋭意準備中です。もしこれらの活動が実を結び、晴れて模式地としての承認を受ければ、再来年には市原市田淵に日本で最初のゴールデンスパイクが打たれることでしょう。

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GSSP(Global Boundary Stratotype Section and Point)は,国際層序委員会のワーキンググループやその上位委員会での何段階かの議論,投票を経て,最終決定する見込みです(2017年頃予定).(2015年11月追記)

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2015年夏に行われた国際第四紀学連合(INQUA)名古屋大会で、当初2015年秋であった申請書提出の締切が2016年末に延期され、さらに2016年8月に行われた万国地質学会で、2017年5月を申請書提出の締切とすることが決まりました。正式な模式地としての承認は、下部ー中部更新統境界作業部会(L-M boundary WG)、SQS、ICS、そして国際地質科学連合 (IUGS) における委員の投票(それぞれの段階で数ヶ月程度かかる)で決まるので、最終決定は早くても2018年中旬と目されます。現在各候補地に関係する研究者グループでは、申請書作成のための最終的な作業を行っています。(2016年10月11日追記)

 

Q:原発の活断層問題に関心があります。テフラによる地層の年代同定について、地質学の専門家が、以下のようなコメントをされていますが、
「例えば1mのローム層を10cm毎に連続サンプリングし、ある層準で3,000 個数えて斑晶鉱物が100 個有り、その上下で30 個、さらにその上下で10 個ということであれば説得力があると思います。しかし、1mのローム層のうち、ある層準だけに3,000 個数えて斑晶鉱物が1 個未満でその前後で検出できなければ、信頼性はかなり低いと言わざるを得ないと思います。」
ここで、「3000個数えて」と言っていますが、
(1)3000個とは何をどのようにとると考えれば良いのでしょうか?すなわち、地層には火山灰のみでなく、いろいろなものが堆積して形成されると思うのですが、それらを含めて定義しているのか、あるいは例えばある大きさのテフラ鉱物のみをスクリーニングしたものを取るのか等について教えてください。
(2)また、なぜ3000個に対して数十個以上の斑晶鉱物がなければ(特定?)テフラとして同定する上で信頼性が低いと考えておられるのでしょうか?
(3)また、専門家のコメントでは、
・テフラの降灰時期にピークがあるはず
・何十cmも積るはずである

とも読めるのですが、どう考えればよいのでしょうか?

(千葉県 片山 昇さん) 

※質問文頭の数字がそれぞれ回答文頭の数字に対応しています。
(1)まず,ご質問では専門家はローム層のことについて述べておりますが,ローム層は風成の堆積物で,日本の場合,火山灰や,その再堆積物,土壌等のちりなどからなっています.この場合は,ローム層のある特定の層準を検討した時に含まれる鉱物粒子全体のなかで,火山灰起源である斑晶鉱物のことを言っていると考えられます.
これが砂礫層の場合では,その場所が火山から遠く離れているなら,火山起源の鉱物はそれほど大きな粒径にはならないので,砂サイズの粒子だけふるいで集めて,その中で摩耗していないきれいな鉱物が火山灰起源と考えて数を数えていると思われます.特に,角閃石,輝石,β-石英は火山灰によく含まれ,周囲の岩盤中に含まれていないとすると,それらの内できれいな形をしているものを火山灰起源としてカウントしているのではないでしょうか.

(2)テフラを同定する上では通常,他の層準と比べて,区別できる程度の量の斑晶鉱物が含まれていないと,それがその時点で降ってきたテフラかどうか認定できません.肉眼で見て火山灰層であると確認できない場合,地層中に火山灰起源の鉱物がどのくらい混じっているかで,火山灰が降った層準かどうかを判断しますが,特に水中でたまった堆積物の場合には,火山灰起源の鉱物が再堆積して,幅広い層準に散らばってしまうことがあります.従って火山灰起源の鉱物が見つかったからといってその層準が降灰した時期とは限りません.個数は別にして,他の層準と区別できるだけの量が認められた時(ピークが有る時),テフラが存在する,あるいは降灰があったと認定できる可能性がでてきます.
ただし,注意しなければならない点として,複数の火山灰起源の鉱物が混じっていることがよくあります.その場合には,個々の鉱物の屈折率や化学組成を求めて,複数のグループに分けられるかどうか,そしてその各々のピークが別の層準にあるかどうかといったことで識別しますが,類似した特徴を持つ火山灰は多く,また組成にも幅があることから,識別は難しいのが普通です.有意な違いを見つけるためにはそれだけ多くの粒が必要になるのです.

(3)降灰時期のピークに関しては上述のとおりです.
何十cmがどのような場面で言われたのかよくわかりませんが,一般論として,周囲に例えば20cm厚のテフラがあれば,その地域もほぼ同様に降灰があったと考えられますが,それがその後の降水等によってどう流出し,どう残るかは別の問題だと考えられます.

 

Q:尼崎市は武庫川と猪名川に囲まれた沖積層平野ですが、通常、地形をご説明するとき「大阪湾に下る三角州上に立地」と述べています。先日『「三角州」とはあくまで広辞苑にもあるように「ほぼ三角形」の形状の土地を指すのであって、尼崎市の地形は「三角州」ではないのではないか』、というご指摘をいただきました。そこでご質問なのですが、地質学的に言って、尼崎市の地形は「三角州」に分類されるのでしょうか。

(兵庫県 あまっこさん)

ご質問にお答えします。尼崎市の地形は「三角州」に分類されます。

三角州という用語は,ナイル川の河口域が地中海に向かってギリシャ文字のデルタ(Δ)に似た形で突き出ていることから,紀元前5世紀にヘロドトスによって作られたと言われています。一般に三角州とは,河川からの活発な土砂の供給にともなって,沖合方向へ前進した堆積物の集合体(専門用語で「堆積体」と言います)で,周辺の海岸線に比べて沖合に突き出していることが最も大きな特徴です。一方,三角州の形は,河川から供給される土砂の供給量や粒度,さらに河口周辺で作用する波浪や潮流の強さなど,様々な要因によって変化することが知られています。したがって,三角州の中には,「ほぼ三角形」の形状を示さないものも多数認められています。例えば,メキシコ湾に注ぐミシシッピー川の河口域に形成された三角州は,鳥の趾のような形状を示すため,鳥足趾状三角州とよばれています。また,東京湾アクアラインの千葉県側の基点が設置されている小櫃川の河口域では,円弧状の形状を示す三角州が形成されています。

尼崎市が立地する沖積平野の海岸線を詳しく見てみますと,埋め立てなどの影響で多くの場所で海岸線の形状が人工的に改変されてはいますが,武庫川の河口域が周辺の海岸線に比べて大阪湾に向かって突き出していることが読み取れます。このような特徴から,尼崎市が立地する沖積平野が三角州として発達してきたことが理解されます。これまでの研究(Web版尼崎地域史事典「apedia」)で,武庫川は六甲山地を起源とする花こう岩質の砂礫を多量に運搬したために,河口域で三角州を発達させたと考えられています。これに対し,近隣の猪名川では,上流域に花こう岩が発達していないため土砂の供給量が少なく,河口域で三角州が発達しなかったと考えられています。このように,波浪や潮流の強さがほぼ一様な大阪湾に注ぐ河川の河口域を比べた場合,河川による土砂の供給量の違いによって,三角州が発達する場合としない場合のあることが理解されます。

 

花崗岩についてお尋ねします。庭に花崗岩の砂利が敷いてあります。原発事故の影響が気になって最近エアカウンターという線量計を買ったのですが、それで計測すると砂利の上の線量が0.08〜0.1くらい上がってしまいます。花崗岩にウランが含まれているというのは理解できたのですが、それがラドン・ポロニウムを放出し、呼吸によって内部被ばくするというのをきき、とても不安です。岩盤でなく砂利でもポロニウム等を放出しているのでしょうか。それはどれくらいの量なのでしょうか。

(愛知県 あかつきさん)

花崗岩にかぎらず、自然の岩石には極微量の放射性元素がもともと含まれているため、微量の放射線が出ています。この放射線のほとんどは岩石に含まれるカリウム、ウラン、トリウムから出されるもので、測定される放射線の強さはこれらの含有量によってほぼ見積もることができます。
例えば、愛知県で多く使われる三河地域の花崗岩には、カリウムが約5%、ウランが約1〜5ppm、トリウムが約10〜20ppm程度含まれています。この岩石の分布する場所での地表から1mの高さでの放射線量は約0.15マイクロシーベルト/hと見積もられ、線量計で測定される放射線の内訳はおよそ6割がカリウムによるもので、残りの1割がウランによるもの、3割がトリウムによるものと考えられます。

放射線量の6割以上を占めるカリウムの崩壊でできる元素は、カルシウム-40またはアルゴン-40でどちらも安定同位体で放射線は出しません。
ウランやトリウムがいくつもの段階を経て崩壊していく過程の一部に、ご質問にあったラドンやポロニウムが現れます。

ご質問のラドン・ポロニウムの生成量を大雑把に見積ってみます。
ウラン濃度5ppmの花崗岩1kgがあった場合、ここに含まれるウランの放射能の量は約60ベクレルなので、1年間に約20億個のウラン原子が崩壊すると見積もられます。ウランが放射平衡状態にあるとすれば、大雑把には、崩壊したウラン原子とほぼ同じ数のラドンが現れると見ることができます。仮に1年間にできるラドンを気体として全て集めたとすると、その体積は約7×10-14リットル(1リットルの700万分の1のさらに1億分の1)となり、非常にわずかな量であることが分かります。
ポロニウムは、ラドンが崩壊して生成される娘核種なので、現れる原子数は同じ程度です。実際には、ラドン222は半減期3.8日、ポロニウム218は半減期3.1分、ポロニウム210でも半減期138日で崩壊するため、このように1年分を集めることはできず、存在量はさらに小さなものになります。
また、花崗岩に含まれるウランの多くの部分は鉱物結晶の中に固定されており、崩壊で生じたラドンは、ほとんど結晶の中から動くことなく短期間に崩壊し生成される娘核種もその場に留まったままになると考えられますので、岩石の外へは殆んど放出されないと考えて良いでしょう。

花崗岩は自然の岩石の中では比較的放射線量の高い岩石ですが、庭に砂利として撒いても周辺への影響は無いと思われます。心配な点があるようでしたら、三河地域や岐阜には岩盤全てが花崗岩でできている地域が広がっていますので、そのような地域での昔からの生活状況などを確認されてはいかがでしょうか。
以下のページに自然の岩盤から見積もられる自然放射線量を地図に示していますので、地域ごとの岩盤から受ける放射線量の参考にしてみてください。
http://www.geosociety.jp/hazard/content0058.html

なお、インターネットなどで自治体等が報告している放射線量は、地上1m(胸の高さ)で測定した値である場合が多く、地面に測定器を置いて測定した値とは異なります。また、線量計の種類・特性によっても表示される値は大きく異なりますので、他の報告値と自分の測定値を比較する際には注意が必要です。

 

Q:滋賀県蒲生郡日野町鍵掛のシャクナゲを見に行きましたが、遊歩道沿いの岩肌が層状になっていてとても不思議でした。あたりには石灰岩地域に生育するイワカガミがたくさんありました。この岩はどういうものなのか教えていただけたら幸いです。

(奈良県 ちょびさん)

ご質問の岩石は,チャートではないでしょうか。
正確な位置がわかりませんが,滋賀県蒲生郡日野町鍵掛のシャクナゲ群落の付近には,チャートという岩石が分布しています。
チャートは堆積岩の一種で,二酸化珪素(SiO₂)を95%以上含んでおり,緻密で非常に硬く,割れ目は鋭いです。
層状,塊状,ノジュール状のものがありますが,この地域では層状のものがよく見られます。層状チャートは,放散虫など微生物の遺骸が大陸から遠く離れた深海底で堆積した遠洋性堆積物と考えられています。
((独)産業技術総合研究所,20万分の1日本シームレス地質図より)
岩肌が層状になっているとのことなので,ご質問の岩石はチャートではないかと思われます。

該当地域の地質については,20万分の1日本シームレス地質図のサイトもご参照ください。

 

Q:原子力発電所の活断層問題に関心があります。活断層が動いた場合、その近傍の地層が引きずられて動く(副断層)ことは素人でも想像がつくのですが、過去の活断層による地震の際、活断層からどの程度の距離では、どの程度副断層(岩盤まで届く)が出来、どの程度動いたことがあるのか、データはとられているのでしょうか?もし、整理されたデータがあれば、リンク先を教えてください。整理されたデータがなければ、例をいくつか教えてもらえないでしょうか?(ちなみに、原子力規制委員会では、活断層から1Km以内は何が起こるかわからないと言った議論が行われていました。)

(千葉県 片山 昇さん)

 地震断層で生じた断層帯の幅については,1)主断層の周辺に副断層が生じることによる幅の広がりと,2)主断層自体がステップしながら延びることによるステップ区間での幅の拡がり,の2つに分けて考える必要があります.そこで,断層帯の幅について,1)と2)について以下の資料を紹介させていただきます.

副断層でのずれの量については,主断層よりも小さいことは当然ですが,さまざまなケースがあり,幾つかの地震断層について詳しい調査もなされていますが一般化した論文は見かけません.

[資料1]
粟田泰夫(2007)2.1 地震断層の実測データ収集.H19年度原子力安全基盤研究「断層帯近傍における変形帯の幅に関する研究, p.4-18 http://www.atom-library.jnes.go.jp/H19_6_11.pdf

[解説]
1)主断層の周辺に副断層が生じることによる幅の広がりについて,カリフォルニア州の1992年Landers地震,1995年兵庫県南部地震,トルコの1999年Izmit地震の事例から,概ね数10m以下としています.(図2.1.1-1;図2.1.1-4,図2.1.1-5を参照して下さい.なお,地震断層のイメージを示した図2.1.1-8では,主断層が太い実線で示されています)
2)主断層自体がステップしながら延びることによるステップ区間(「ジョグ」と呼びます)での幅の拡がりについては,そのイメージが図2.1.1-8では網掛けの長方形で示されています.このジョグの中では,多くの副断層が生じています.図においてランク1とされる小さいものではジョグの幅が数10m程度ですが,ランク3の大きなジョグでは幅が数km以上に及ぶ例もあります.
なお,厳密に言いますと,1)の主断層の周辺に生じる副断層と,2)の小規模なジョグとされる断層とは,同じものを指す場合が少なくありません.

[資料2]
Lettis et al.(2002)Influence of Releasing Step-Overs on Surface Fault Rupture and FaultSegmentation: Examples from the 17 August 1999 I˙zmit Earthquake on the North Anatolian Fault, Turkey.Bulletin of the Seismological Society of America, vol.92, n0.1. p.19-42.

[解説]
主断層がステップすることによって生じるジョグの規模を,世界中の地震断層から抽出してまとめたデータが,表3と図10に掲載されています.ジョグは,a)地震断層の中間部に生じたもの,すなわち1回の地震による破壊が次々と飛び越えていったものと,b)地震断層の末端部に生じたもの,すなわち断層の破壊が伝わるのを止めた大規模なものとに,大きく2区分されています.(このイメージも,上記の資料1の図2.1.1-8を参考にして下さい)

a)地震断層の中間部に生じたジョグでは,最大で2-4kmまで断層帯の幅が拡がるとされています(図10の白丸).

b)地震断層の末端に生じたジョグでは,隣り合う別の地震断層の末端との間に2-10kmにも及ぶ大きな幅の断層帯が形成されます(図10の黒丸).ただし,このように大規模な末端部のジョグでは,多くの副断層が生じても,その分布密度は a)と比べて相対的に小さいとも考えられます.

 

Q:地質学の以下の4つの法則は、地質分野の中では一般的にオーソライズされているのでしょうか?
[1]地層累重の法則 [2]堆積初期の地層水平の法則 [3]堆積初期の地層連続の法則 [4]地層切断の法則
[1]は、私の周囲の大部分の方は認知しているのですが、[2]〜[4]はあまり聞いたことがないということでして、地質学の4つの法則としてオーソライズされているのか教えて頂けないでしょうか? 

(埼玉県 匿名希望さん)

お問い合わせの件は,斉一過程原理とあわせて地質学の古典的な基本原理と呼ばれるものです.これらは層位学の基礎となるものではありますが,必ずしも現在の堆積学の知識とは整合しないことは予めお含みください.陶山国男・羽田忍共著, ”現場技術者のためのやさしい地質学”築地書館刊に記載がありますのでご参照ください.

(a) 地層累重の法則
1791年にウイリアム・スミスによって提唱された層位学の基本法則であり,”地層は基本的に万有引力の法則に従って,下から上に向かって堆積する.下にあるものほど、古い.”という層位学の基本的な考え方であり,地層の新旧や年代判定を行う上での基本原理といえる.
広義の地層累重の法則は次の3つの法則からなる.
<第1法則>地層は水平に堆積する(初原地層水平堆積の法則.Law of original horizontality).
<第2法則>その堆積は側方に連続する(地層の側方連続の法則.Law of lateral continuity).
<第3法則>古い地層の上に新しい地層が累重する.

(b) 堆積初期の地層水平性の法則(=地層累重の法則の第1法則)
”水成の堆積物は、ほぼ水平に堆積し,しかも堆積する下の面に平行か、あるいは平行に近い層になって堆積する.”という趣旨.

(c) 堆積初期の地層連続の法則(=地層累重の法則の第2法則)
”水中で堆積した層は,それが作られたときには横のあらゆる方向に連続していて,その縁の方では,堆積作用が行われないために薄くなって消え去っているか,あるいは堆積盆地の周辺では古い地層や岩石に接して終焉している.”という趣旨.

(d) 地層切断の法則
”地層がその堆積した盆地の縁以外の地点で急に途切れている場合は,浸食によって削除されたか,断層等の構造運動によって移動された.”という趣旨.

(e) 斉一過程原理
ジェームズ・ハットンとチャールズ・ライエルによって導入された地質学古生物学の基本原理であり,"現在は過去の鍵である".すなわち、”現在私たちの身近に起こっている自然現象によって,大昔に作られた地層の生成を説明することができる”という趣旨.

 

Q:北海道の支笏火山のことですが、支笏火山の大噴火の時期について3万2千年前とする表記と4万年前とする表記の二つあり、身近では、2004〜2008年頃のものには3〜4万年前、2009年以降には4万年前が多いようです。統一されていますか?また、2009年の「第四紀下限の変更」と何か関係がありますか?

(北海道 EDOさん)

 現在の支笏湖を形成した噴火では大きく分けて支笏降下軽石堆積物(Spfa1)と支笏火砕流堆積物(Spfl)が噴出しました(勝井,1959;曾屋・佐藤,1980など).下位のSpfa1中にはしばしば炭化木が含まれることから,古くは1950年代から放射性炭素年代の測定対象となってきました.Spfa1に埋没した木はSpflの熱で炭化したと推定されるため,炭化木が形成されたのはカルデラ形成とほぼ同時と見ることができます.
 1980年代頃までにおこなわれた測定は測定限界が若く,3〜4万年前という測定値は検出限界に近い年代です。また,試料の化学洗浄法なども確立されておらず,現世の若い有機炭素が混入して若い年代が出ていた可能性もあります.
 1980年代後半以降は,加速器を利用した放射性炭素年代測定の手法が実用化され,精度が向上しました.その結果,ほぼ同じ場所の炭化木から4万年前前後の測定値が報告されるようになりました。しかし,それらの年代値も,現世の炭素の影響が完全に取り除かれていないためか,4万年前を中心として,その前後3千年ほどばらついているのが現状です.そのため,最近になって多くの人が4万年前頃という放射性炭素年代を支持するようになったという状況であり,2009年の「第四紀下限の変更」とは関係ありません.

(古川竜太 産業技術総合研究所)

 

Q:氷河期に関して。
氷河期と氷河期の間を間氷期と表現する記事と、温暖期と表現する記事を見ます。1)どちらが正しいのでしょうか?またその根拠は? 2)氷河期と間氷期の区別は? 氷河期が終わった、あるいは氷河期に入ったという判断は何を持ってそのようにしているのでしょうか?酸素同位体比は我々が日常使う温度表記ではなく相対温度になってしまいよく判らないのです。

(匿名希望さん)

 地球の歴史の中で,大陸に氷床が発達した時期を氷河期と呼びます.氷河期の中でも,相対的に寒冷で氷床が発達した時期を氷期,氷期と氷期の間の相対的に温暖で氷床があまり発達しなかった時期を間氷期と呼びます.一方,氷河期であるなしに関わらず,地球の歴史の中で相対的に気温や海水温が高かった時期は温暖期と呼ばれます.したがって,間氷期と温暖期は定義が異なります.まず,氷河期と氷期・間氷期に関して正しい定義を理解して下さい.
  氷床が発達した時期や場所は,陸上でみられる氷河成の地形や堆積物から分かります.現在では,地球の歴史では,4回の大きな氷河期があったとされています.それらは,先カンブリア時代古原生代および新原生代,オルドビス紀〜シルル紀,石炭紀〜ペルム紀,第四紀です.なかでも新原生代(クライオジェニアン紀)は地球の歴史で最も氷床が発達した時期で,地球は氷床に覆い尽くされたことが分かっています(全球凍結事変).
 かつて第四紀の氷期は,氷河成の地形や堆積物から識別されていました.有名なギュンツ氷期やミンデル氷期等の名称が,それに該当します.しかし,近年,有孔虫の殻の酸素同位体比が,氷床の発達と衰退に伴う海水の酸素同対比の変化を反映していることが分かり,
・北半球の高緯度域に氷床が形成・発達したのは,約260万年前からであること
・氷期・間氷期は約90万年前までは4万年周期で繰り返し,30万年間の移行期間を経たうえで,60万年以降は10万年周期で繰り返して来たこと
が明らかとなり,氷床の発達と衰退には,地球が太陽の周りを公転する際の軌道要素の周期的な変化が大きく関わっていると理解されています.

(井龍康文 東北大)

 

Q:過去の地球を知ることで私達社会にどのような利益をもたらすのですか?

(匿名希望さん)

 盛岡高等農林学校の大正5年の夏季地質調査実習に参加した宮澤賢治を含む学生たちの報告書には次のように書かれています(現代語に直してあります)。
 「地質学は、私たちが生活している地球の成り立ちを追求し、現在の地殻の構造を解明し、また地殻に起こるいろいろな変動について、その原因と結果を説明する。たとえば(子供に)我が家の歴史を教え、その成立と発展を理解させるようなもので、いやしくも知能をそなえたものに多大な興味を与えることは、論じるまでもなく明らかである」。
 あなたの先輩たちが見事に述べているように、過去の地球を知ることの利益は、まずこのように知能をそなえた人間として当然持っているはずの、自分たちが生活しているこの大地の構造や歴史への興味に解答を与えることです。つまり、まず「自分自身を知る」こと、「人間をつくる」ことに役立つと言えるでしょう。

 過去の地球を知ることだけで、私たち社会に直接利益をもたらすことは一般にはあまり知られていません。自然の風景(地形や地質)ができるストーリーは、過去の地球を知ることによってイメージが湧くものが多く、ジオパークなどで活用されています。
 しかし、もっと重要なことは、過去の地球から現在までの変化を知ることが、これからの地球の変化を予測するための基礎資料になることだと思います。また、過去に起こったことが理解できれば、現在起こっていることを理解する助けにもなります。例えば、地質に起因する自然災害(地震、火山、地すべりなどの斜面崩壊、液状化など)は、過去の歴史を知ることによって、今後どのようなことが起こるかを推測できます。温暖化・寒冷化などの気候変動も、過去からの変化を理解することによって、今後起こりうることの推測につながります。また、鉱産資源などは過去にできた地層・岩石の中にあるので、過去にどのような状況でできたかを知ることによって、鉱産資源の探査ができ、社会の役に立ちます。また、過去にどのような場所でできた地層か調べることは、その場所に建物を建てたり、人が住んだりして良いか?、どういう工法をとったらいいか?という判断の助けにもなります。
 まさに過去の地球をよく知ることによって、私たちが地球と共に生きていく重要な情報になるのです。
 過去の地球のことを研究した成果(例えば地質図など)が社会にどう役立っているか、について、以下のサイトに資料がありますので参考にしてはいかがでしょうか。

(独)産業技術総合研究所地質調査総合センターWeb
「地質図の利用」
http://www.gsj.jp/geology/geomap/geomap-use/

経済産業省Web
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0003843/004_haifu.html
の参考資料2 知的基盤の活用事例集p.100-119,p.120-145

(地質学会 斎藤 眞・石渡 明)

 

Q:地層は、様々なものが堆積して出来るということですが、どうしても分からない点があります。

上の図の、[1]が初めの状態だとしますと、それぞれ長い年月の間に各地点の土などが風雨によって運ばれ[2]のように別の場所へ移動します。1ヶ所だけみていますと、確かに積っていきそうですが、地球上満遍なくこれが起きると考えると一旦積った土などもまたどこかへ移動していかざるを得ず、堆積していかないように思えるのです。別の例えをしますと、山の土が削れてその周辺地帯に堆積するのは分かるのですが、地球全体満遍なく起るのは、山のない平野もありますし、おかしい。その土はどこから来たのか?部分的なら分かりますが、地球上満遍なく起る点が分からないのです。

(千葉県 H.M.さん)

 山などが削られ、削られて運ばれた土砂が堆積して地層ができるというのが主な地層のでき方です。地球上には、削られやすい場所と堆積しやすい場所があり、今の瞬間を見れば地層のできる場所は堆積しやすい場所(湖や海などの凹地)に偏っています。このため、地球上満遍なく堆積が起きているという考えは正しくはありません。
 しかし、地球の時間のスケールで見た場合は異なります。
数万年単位で見ると、気候変動により海水面が上下して、平野が海になり堆積しやすい場所になったり、浅い海が陸になり削られやすい場所になったりします。
 さらに、数億年単位でみると、地球を覆うプレートの動きにより海底の堆積物が陸に持ち上げられたり、ヒマラヤなどの山脈が作られるような現象が起きたりするなど、削られやすい場所と堆積しやすい場所が大きく変化していきます。
現在地球上で見られる地層の様子は、このような長い地球の歴史を通じて起きた作用が足しあわされた結果なのです。